ACC診療ハンドブック

解説編

治療継続と生活維持のための社会資源の活用

Last updated: 2015-02-25

 HIVに感染すると、長期にわたる継続的通院および治療が必要となる。病気を抱え、定期的な通院や毎日の内服治療を欠かすことのできない生活の中で、患者・家族は心理的苦痛を感じるだけでなく、就労や家計などあらゆる生活場面で、個人では解決が困難な問題に直面しうる。 このような状況にある患者・家族を支援するために活用されているのが、下記の社会資源である。これらの社会資源は、治療の継続と生活維持のために一定の効果を上げている。したがって、治療にあたる際は治療的介入に留まらず、生活支援の視点を併せ持った関わりが求められる。 患者・家族の生活や価値観に触れる援助・介入を行う際には、本人の意思を尊重するとともに、常に本人が問題に向き合い自らの力で解決・解消のため行動することを支援するという姿勢が重要である。

経済的な支援
1)公的医療費助成: (注)医療費とは保険診療内に限る

①高額療養費制度
 月ごとの医療費の自己負担額が高額になった場合、一定額を超えた金額について、加入する健康 保険より払い戻される。
②心身障害者医療費助成(マル障)
 身体障害者手帳※1取得者に対する医療費一部助成。対象者は自治体の基準による。
③自立支援(更生)医療

※1身体障害者手帳
HIV/AIDS患者は、身体障害者として免疫機能障害に該当し身体障害者手帳の交付が受けられる。身体障害者のための社会的支援(高額な医療費の軽減や税の基礎控除、福祉サービスの利用、就労の機会獲得など)を受ける際、この身体障害者手帳が必要な場合がある。指定医師の診断により認定基準(1〜4級)に該当すれば、患者は都道府県に交付申請が可能。 申請から交付まで約1〜2ヶ月かかる。特に医療費の軽減を目的とした取得の際は、治療の時期に併せて申請すると患者の医療費軽減につながる。

2)その他

①傷病手当金
 病気やけがのために仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される。
②雇用保険失業等給付(基本手当)
 失業中の生活を心配せずに新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるよう支給される。
③障害年金
 病気やケガで、法令により定められた障害の状態にある間に支給される。
④各種障害者手当
 重度の障害を有する場合に支給される。
⑤生活保護
 経済的に困窮する国民に対して、最低限度の生活を保証する制度。

□生活への支援
 訪問診療、訪問看護、障害者自立支援サービス、介護保険サービス、保健師による訪問と相談・指導等
□就労への支援
 ハローワーク、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、在宅就業障害者への支援等