ACC診療ハンドブック

日和見疾患の診断・治療

口腔食道カンジダ症

Last updated: 2018-03-18

病原体

Candida albicans によることがほとんどである。Fluconazole(FLCZ)耐性C.albicans やnon-albicans Candida 属が問題となる場合、その多くは、アゾール系薬剤の度重なる長期間の使用の結果によるものと考えられている。

臨床像

細胞性免疫低下が重要なリスク因子でありCD4<200/µLの患者で特徴的にみられるが、抗菌薬の使用や吸入ステロイドの使用に関連して発症する事もある。

口腔咽頭カンジダ症(写真1, 2)
 口腔・咽頭粘膜の剥離可能な白苔が特徴である。白苔周囲の発赤(紅暈)を確認できる事もある。白苔を伴わない難治性の口角炎や、軽い疼痛を伴う舌の発赤として発症することもある。
 基本的に軽症例では無症状が多く偶然に見つかることも多い。病変が広範囲になると軽度の痛みを自覚するようになる。本症を疑ったら嚥下時違和感などの症状の有無を確認し、後述の食道カンジダ症の発症も念頭においた診察を行う。


写真1


写真2

食道カンジダ症(写真3)
 通常、口腔咽頭カンジダ症を合併している。無症状で上部消化管内視鏡で偶然診断されることも多いが、進行すると嚥下時の「つっかえるような違和感」を訴えるのが典型的である。教科書的にしばしば記載される嚥下痛は、実際の症例ではあまりない。従って、嚥下痛を訴える症例では、サイトメガロウイルスやヘルペスウイルス及びHIV 自体による食道潰瘍の合併を積極的に疑うべきである。ただし、これらの食道潰瘍を合併する患者では、食道カンジダ症を発症している事が多く、写真3のように食道カンジダ症による分厚い白苔に覆われて、その下の食道粘膜の観察が不十分となり、食道潰瘍を見逃すリスクが高い。


写真3

診断

口腔咽頭カンジダ症
 上記の臨床像と肉眼的所見からの臨床診断で十分である。口腔カンジダ症と誤診されやすい毛状白斑症の所見を写真4に示した。本症は舌縁部が好発部位であり舌表面の白色変化で剥離は不可能である。EBV関連疾患であり、細胞性免疫不全に関連して発症する。FLCZ耐性が疑われる場合には、白苔の培養を実施する。


写真4

食道カンジダ症
 口腔食道カンジダ症を発症している患者が、嚥下時違和感を自覚している場合には、本症と臨床診断し、FLCZによる治療反応性をもって治療的診断を行う。
 診断のための上部消化管内視鏡検査は基本的に不要であるが、患者が嚥下時痛を訴える場合には積極的適応となる。この場合には、粘膜面の観察を十分に行うために、一定期間の抗真菌治療を行い食道粘膜の白苔がすべて消失した状態で内視鏡検査を行うことが望ましい。

治療

 粘膜カンジダ症は、抗HIV 治療により免疫機能が回復するまでは、何度でも罹患しうる。一方で、粘膜カンジダ症は自覚症状も軽度でそれ自体は生命予後とも関連しない。口腔内所見や自覚症状を指標に必要に応じて反復治療を行い、軽快後は口腔ケアによる再発防止の指導を行う。アゾール系薬剤の予防投与は薬剤耐性カンジダを選択するリスクがあるので、基本的には行うべきではない。
 以下、ACCで通常行っている治療法を記載する。症状緩和を目標としており、一般的ガイドラインよりは治療期間はかなり短い。

口腔カンジダ症
 FLCZ 100mg/日 3-5日
 *再発してもすぐに再治療を行う必要はない。自覚症状と白苔の程度を目安に再治療を判断する。
食道口腔カンジダ症
 FLCZ 200mg/日 7日程度
 治療効果は嚥下時違和感消失という形で通常48-72時間以内に現れる。

(嚥下時痛を訴えている時)
FLCZ 200-400mg/day 14日
*内服終了後も嚥下時痛が持続していれば、上部消化管内視鏡検査を速やかに実施する。